Lumionプロジェクトがハードウェアに対して複雑すぎる場合、それをスムーズに処理するために必要なシステムメモリと仮想メモリが不足していると、プロジェクトのパフォーマンスが低下します。
ハードウェアが動作可能なパラメータ内でプロジェクトを維持するには、経験とLumionのソフトウェア要件を理解することが必要で、これがシーンを効率的に構築するための鍵となります。
プロジェクトがハードウェアに対して複雑すぎる場合、次のような症状が現れます。
- 強力なグラフィックカードを使用しても、FPSが不快なほど低くなる(1-10)
- プロジェクトの操作時にカメラが途切れる
- クリックしても反応しない
- レンダリング時間が長い、または不安定
- 画面が時々白っぽくなる
もし、プロジェクトでこれらの症状の1つ以上がみられる場合、PCがLumionのシステム要件を満たしているかを確認することをお勧めします。 グラフィックカードが作業中のプロジェクトの複雑さのレベルに適しているかが重要です。
その後、プロジェクトを最適化し、パフォーマンスを向上させるために設定を調整を行います。
1. PCがシステム要件(動作環境)を満たしているか確認する
以下の手順で、お使いのハードウェアがLumionとプロジェクトに適しているかどうかを確認します。
1.1:PCがLumionの動作環境を満たしているか確認する
以下のリンクから、お使いのPCがLumionの最小システム要件を満たしているか、または超えているかを確認してください。
- リンク:動作環境
- ナレッジベース:Lumion 2024を使用するにはどのようなコンピューターが必要ですか?
お使いのPCが最低限必要なシステム要件を満たしていない場合は、Lumionを正常に動作させるためにハードウェアをアップグレードする必要があります。
PCが要件を満たしている場合は、以下のステップに進んでください。
1.2:PC、特にグラフィックカードはプロジェクトに適しているか確認する
下記記事を参照し、グラフィックカードがプロジェクトとその複雑さに適しているかどうかを確認してください。
- ナレッジベース:Lumion2024にはどのグラフィックカードが必要ですか?
- ナレッジベース:プロジェクトの「複雑さ」をどのように判断しますか?
1.3:システムソフトウェアの更新
PCがLumionとプロジェクトに適していることを確認したら、グラフィックカードのドライバーとWindowsのバージョンが最新であることを確認します。
- ナレッジベース:Lumionの実行に必要な最新のシステムソフトウェアをどのようにインストールしますか?
1.4:パフォーマンスモニターを使用してプロジェクトの複雑さを定期的に確認する
ハードウェアの過負荷やシステムにとって複雑すぎるプロジェクトの作成を回避するために、パフォーマンスモニターを定期的に確認することをお勧めします。
プロジェクトが複雑になると、FPSとメモリのインジケータが白からオレンジに変わり、さらに警告の赤に変わります。
オレンジの時は、オブジェクトの追加を中止したり、内容を見直すべきタイミングを示します。
FPSが赤になり、モニターに直接数値が表示された場合、プロジェクトはすでに低パフォーマンスの状況に達しており、以下のようなオプションを検討する必要があります。
2. プロジェクトの最適化
Lumion は、プロジェクトにコンテンツを追加することを妨げることはありませんが、ハードウェアはすべてのデータを一定量までしか処理し、良好なパフォーマンスを維持する機能しかありません。
プロジェクトの負荷を増やし続けると、ある時点で、コンテンツが画面の再描画やレンダリング時間に影響を与えることがわかります。
編集画面でLumionのパフォーマンスを上げるには、プロジェクトで以下の要素に留意する必要があります。
2.1:プロジェクト内のインポートモデルの数と複雑さ
インポートモデルは、その3Dポイント数によってパフォーマンスに影響を及ぼします。
パフォーマンスモニタ(編集モードの画面右上)には、3Dポイント数が赤く表示され、プロジェクトの複雑さや重さが分かります。
インポートモデルの複雑度が高ければ高いほど、3Dポイント数は多くなります。 また、3Dポイント数が多いほど、プロジェクトが遅くなる可能性があります。
非常に複雑なモデルや、インポートモデルの数が多すぎる場合、例えば木や非常に詳細な家具などは、インポート前に最適化しなければ3Dポイント数が高くなり、パフォーマンスにかなりの影響を与える可能性があります。
Lumionは、複雑すぎてパフォーマンスに影響を与えそうなモデルをインポートすると警告を発します。
FPSカウンターが赤で表示されている場合は、プロジェクトに追加したインポートモデルの数が多すぎたり、複雑すぎるためハードウェアでうまく処理できないことを意味します。
より良いパフォーマンスを得るためには、モデルを単純化する必要があります。 それは以下のようなものが考えられます。
テッセレーションを下げる(面の数を減らす)
レンダリング品質を向上させないモデルの冗長な部分を削除する。
(例えば、外観のみのアニメーションを作成する場合、内部を非表示、削除するなど)
インポートモデルの複雑さを軽減し、FPSを向上させるには下記記事を参照ください。
- ナレッジベース:Lumionにモデルをインポートする前に、モデルの複雑さをどのように軽減しますか?
注:メモリを節約するために、Lumionは同じインポートモデルのインスタンスを作成します。従って、あるモデルをインポートしてLumionに複数回配置する方が、同じモデルがその中に繰り返し含むファイルをインポートするより効率的でリソース消費も少なくなる場合があります。
例えば、1つの樹木のモデルをインポートして、それをルミオンで100回配置すれば、はるかにパフォーマンスが向上します。
100本の木を含む1つのモデルをインポートした場合
どちらのシーンも3Dポイント数はまったく同じですが、後者の方がより多くのメモリを消費し、FPSがはるかに低いことに注目してください。
これは、インポートモデルライブラリからモデルを複数回配置する場合、各複製に対して単一のモデルを参照するだけだからです。
しかし、同じモデルファイルに複数のオブジェクトがインポートされている場合、それらの複製されたコンポーネントのそれぞれをLumion用の未加工メッシュモデルに変換する必要があり、より多くのハードウェアリソースを消費します。
2.2:プロジェクト内のライブラリオブジェクトの数
プロジェクトに過剰な数のライブラリオブジェクトを追加すると、3Dポイント数も増えLumionの動作が遅くなります。 特に、以下のオブジェクトはパフォーマンスへの影響が大きいので、注意して配置する必要があります。
ライト
プロジェクトに多くのライトを追加すると、メモリ使用量が増加し、パフォーマンスが低下します。 特に、スポットライトとオムニライトは、レンダリングする必要がある影の影響で3D ポイント数が大幅に増加します。
スポットライトとオムニライトの数が多くプロジェクトの操作性が遅くなる場合は、影の設定(プロパティ)を低くすることを検討してください。
また、レンダリングの品質にとって照明が不可欠でないエリアでは、エリアライトやライトフィルを使用してみてください。
これらのライトオブジェクトは、影を落とさないのでレンダリングが速く、グラフィックカードにかかる負担がかなり軽減されます。
ファインディテールネイチャー
ファインディテールネイチャーモデルは、Lumionにある標準的なネイチャーモデルやその他の木々よりもはるかに詳細なモデルです。 そのため、過度に使用するとデータは重くなり、パフォーマンスが低下する可能性があります。
ファインディテールネイチャーモデルは、カメラビューで植物のクオリティの高さを表現したい箇所にのみ、控えめに使用することをお勧めします。
2.3:マテリアルの品質と種類
解像度
高解像度のテクスチャは、より高い品質を得る場合もありますが、レンダーフレームごとに処理するデータ量が多くなりパフォーマンスに直接的な影響を与えます。
- 高解像度の画像は、より多くのデータを必要とします。 グラフィックカードが表示用に余分なデータをすべてシステムに戻すため、システム(CPUとマザーボード)の処理に時間がかかってしまいます。
- グラフィックカードのメモリ(メモリの中で最も高速なもの)の量は、有限であり限られています。 グラフィックカードの空きメモリや未使用メモリがテクスチャの格納に十分でない場合、グラフィックカードはスペースを確保するためにデータをオフロードする必要があります。 そうすると、システムのパフォーマンスが低下し、最終的にプロジェクトの操作性が遅くなります。
例えば、解像度4096x4096のテクスチャは、解像度2048x2048のテクスチャに比べて4倍のピクセル数を持つことになり、パフォーマンスへの影響が大きくなります。
Lumionでサポートされているテクスチャの最大解像度は16,384x16,384ピクセルで、これはグラフィックカードでサポートされている最大値です。 一部の衛星地図画像は、16,384x16,384またはそれ以上です。このような場合、Lumionは、すべてのオーバーサイズのテクスチャを、サポートされる最大値にスケールダウンします。
- 品質と性能のバランスを考えると、通常は2048x2048または4096x4096で十分です。
- レンダリング時に可能な限り高い品質が要求されるカメラと近接した面は、4096x4096にすることができますが控えめ使用することを推奨します。
- 4096x4096より高画質になる例として、衛星地図を使用する場合で広い地形領域では8192x8192または16,384x16,384まで必要な場合があります。
- 上記のガイドは、常にグラフィックカードがどのようなメモリを持っているかに依存します。
動画テクスチャ
- 動画テクスチャの数と解像度も性能に影響します。
- CPUは通常、最大でも5つの動画を同時に処理することができます。
Lumion (V11以上) では、編集モードまたはクリップの再生中でない限り、すべての動画テクスチャを一時停止するようになりました。 これは、プロジェクトの性能に保ちます。 同時に再生される動画が多すぎると、大きく影響します。 - PCがプロジェクトの処理に時間がかかっている場合、低解像度のテクスチャを使用することをお勧めします。
3D芝生マテリアル
3D芝生マテリアルは大量のメモリを消費します。 大きな面に割り当てる前にこのことを考慮する必要があります。 このマテリアルを追加した後、パフォーマンスに影響があると感じた場合は、このマテリアルのエリアを減らすか、代わりにランドスケープ芝生を使用することを検討してください。詳しくは下記記事を参照ください
- ナレッジベース:芝生をより速くレンダリングするにはどうすればいいですか?
ツタ
ツタを大きな表面に追加すると、画面の再描画(FPS)やレンダリング時間に影響を与える可能性があります、これは3D芝生マテリアルの場合と同じです。このマテリアルは可能な限り小さなエリアで使用することをお勧めします。
2.4:カメラ、ムービー、パノラマモードのエフェクト
多くのエフェクトを追加すると、プレビューウィンドウのパフォーマンスが低下します。作業中に使用可能なメモリを節約するために、プレビューに影響がないエフェクトをオフにするか、追加しないようにしてください。
特に、以下のエフェクトは非常に負荷が高いです。
反射
使用する反射平面の数は、平面を追加するたびにシーン全体を再度レンダリングする必要があるため、パフォーマンスに直接影響します。
反射エフェクトでモデルに反射平面を割り当てている場合は、プレビューを「なし」に設定して、写真やクリップのレンダリングを開始するまで平面反射が計算されないようにしてみてください。
これらの設定は、プレビュー中の品質(およびパフォーマンス)にのみ影響します。
画像やムービーへのレンダリングは完全な設定のまま行われますので、反射平面の数を最小限にすることも検討してください。
Lumionの平面反射に関する詳細と提案については、以下の記事を参照ください。
- ナレッジベース:平面反射はどのように機能しますか?
グローバルイルミネーション
グローバルイルミネーションを使用している場合は、[ スポットライトGIと影のプレビュー ]がオフになっていることを確認してください。
この設定がオンの場合、すべての影が一度にレンダリングされるため、プレビューのパフォーマンスが大幅に低下します。影をプレビューする必要がある場合は、F8を押してください。
- ナレッジベース:Lumion 12ショートカットキー
選択したスポットライトの数もパフォーマンスに影響することに注意してください。スポットライトの数だけ影が同時に表示されるためです。
ヒント:ムービーモードでは、(必要でない限り)各クリップではなく、ムービー全体でエフェクトを使用することをお勧めします。ムービーモードでエフェクトを使用する場合、ムービー全体で一括してエフェクトを有効/無効にする方がはるかに簡単だからです。 エフェクトの編集が一度で済むようになり、非常に楽になります。
3. 品質設定の調整
Lumionでフレームレートを上げる必要がある場合、以下の手順に従ってください。
Lumion 11以降のバージョン:
- [ プロキシの使用 ]を[ オン ]または[ オート ]に設定すると、フレームレートが低いときにモデルを一時的にワイヤーフレームボックスに置き換えることができます。
注意:プロキシを使用すると、FPSへの影響を気にすることなく、プロジェクトに多くのオブジェクトを追加することができます。 その結果、プロジェクトに負荷がかかり、レンダリングパフォーマンスが低下する可能性があります。
Lumionのすべてのバージョン:
- Lumionウィンドウを小さくするか、あるいはモニタの解像度を下げる。(レンダリングに必要なピクセル数が少ないほど、フレームレートが高くなります)
- または、設定画面で[ グラグフィック解像度 ]を100%より低くに設定します。
- 設定画面で[ エディタ品質 ]の星を低く設定します。
- 設定画面で[ 高品質の樹木を有効にする ]をオフにします。
Lumion 9以前のバージョン:
- 設定画面で[ 高画質の地形を有効にする ]をオフにする。
その他のヒント:
- 3Dポイント数を減らし、パフォーマンスを向上させるもう一つの方法は、作業中にレイヤーでオブジェクトを非表示にすることです。 その後、カメラ/ムービー/パノラマモードで[ レイヤーの可視性 ]エフェクトを追加し、レンダリング前にレイヤーをオンにすることができます。
- インテリアとエクステリアの両方のシーンがある詳細なプロジェクトで、ハードウェアがそれに追いつくのが難しい場合、インテリアレンダリング用とエクステリアレンダリング用のそれぞれ別のファイルを作成することを検討してください。 複雑なプロジェクトをより小さなパーツに分解するオプションはたくさんあります。
- 同じ階数の建物や連続した家屋のプロジェクトを作成する場合、インテリアが一部のカメラビューでしか見えないようであれば、1つの階や家屋にのみインテリアのディテールを追加することを検討してください。
- 外から見えるだけのインテリアには、あまり複雑でないモデルを使用するか、Lumionに最適化されたライブラリオブジェクトを使用することを検討してください。
4. 出力レンダリング性能
すべてのモデル、すべてのオブジェクト、エフェクト、レンダリング設定は、出力(カメラ、ムービー、パノラマ)のレンダリングに必要な時間に影響を及ぼします。 より速くレンダリングを行うための提案は、下記記事を参照ください。
- ナレッジベース:Lumionでより速くレンダリングするにはどうすればよいですか?
注意:
これらの提案は、作品の質を下げるものではなく、必要最小限の労力で最大の成果を得られるように、物事を最適化することを目的としています。
上記の情報は、既存のハードウェアでLumionを最大限に活用することに焦点を当てています。 しかし、要求の厳しい、詳細な、特に非常に複雑なプロジェクトを作成されるの場合、ハードウェアの変更を検討する必要があるかもしれません。 例えば、システムメモリ(RAM)の変更、グラフィックカードの変更、PC全体の変更などが考えられます。
もし、Lumionのパフォーマンスが低下しているようでしたら、PCの情報とプロジェクトファイルをお送りいただければ、詳しく調査して対応させていただきます。
関連情報:
- ブログ:より速いパフォーマンスのために3Dモデルを最適化する方法